2014年

~健康診断の実施~

 長時間労働等の過重労働が原因となって健康障害が生じ、長期の休業や退職を余儀なくされてしまうことがあります。
 労働者が健康な状態を保ちながら働き続けるには、労働者の自助努力に加えて、会社による健康保持、増進の取組みが欠かせません。
 会社が」行う健康診断とその結果に基づく事後措置について触れていくこととします。

1、健康診断

 労働安全衛生法により実施が義務づけられている健康診断のうち、一部を取り上げます。

①雇入時の健康診断
常用使用する労働者を雇い入れる際に、所定の項目について実施する健康診断です。
ただし、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者を雇い入れる場合に、労働者が健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その項目については実施を省略することができます。

②定期健康診断
常用使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、所定の項目について実施します。
診断項目の一部(身長や腹囲の検査など)は、医師が必要でないと認めるときは省略することができます。

③特定業務従事者の健康診断
特定業務(例えば、深夜業を含む業務や著しく暑熱・寒冷な場所における業務など)に常時従事する労働者に対し、その業務への配慮替えの際および6か月以内ごとに1回、定期に実施します。
診断項目は定期健康診断と同じですが、実施の頻度が多くなる(6か月以内ごとに1回)ように定められています。
また、定期健康診断と同様に、医師が必要でないと認める検査項目は省略をすることができます。

④海外派遣労働者の健康診断
労働者を6か月以上海外派遣しようとするときおよび6か月以上海外派遣した労働者を国内の業務に就かせるとき実施します。
診断項目は、定期健康診断と同様の項目のほか、派遣時・帰国時でそれぞれ実施する項目が定められています。

⑤給食従事者の検便
事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又はその業務への配置換えの際、検便による健康診断を行わなければならないとされています。

《参考》
労働安全衛生法では、①から⑤の健康診断のほか、有害な業務従事者の健康診断、じん肺診断、歯科医師による健康診断など業務等に応じた健康診断の実施についても規定されています。

2、実施から事後措置まで

 健康診断は、会社が実施する安全衛生活動のうち重要なものの1つと言えます。年間の予定を立て、計画的に実施していくことが望ましいのです。

①健康診断計画の作成
実施時期、担当者の選任、情報管理や守秘義務などを定めていきます。

②検診実施機関の選定・依頼
依頼の際に、健康診断結果を会社に提供していただくよう伝えます。
健康診断機関によっては、個人情報保護法を理由に会社への提供を拒まれることがありますが、労働安全衛生法に基づく健康診断については、その結果の提供を受けることが可能です。

③健康診断の受診支持
健康診断は、対象となるすべての労働者が受診できるように日程や時間帯などの配慮をすることが望ましいです。
健康診断の受診を拒む労働者については、健康診断の重要性を説明し、受診への理解を得ていきましょう。
なお、会社が指定する医師の健康診断を希望しない労働者が、他の医師による健康診断を受けたときは、
その結果を証明する書面の提出でも構いません。

④診断結果の受領・通知
健康診断結果を労働者に通知します。健康に関する情報は個人情報の中でも特に慎重に取り扱う必要があります。

⑤医師等からの意見聴取
異常の所見があると診断された労働者については、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師または歯科医師から意見を聴きます。

⑥就業上の措置
医師等からの意見を勘案し、必要があれば、労働者の実情を考慮して、就業上の措置を講じなければなりません。
例えば、次のような措置が該当します。
・就業場所の変更
・作業の転換
・労働時間の短縮
・時間外労働の制限
・出張の制限
・深夜業の回数の減少
・休業
・作業環境測定の実施
・施設又は設備の設置や整備
就業上の措置を決定するときは、対象となる労働者の意見を聴き、十分な話し合いを通じて理解を得ながら実施しましょう。
また、該当労働者のほか、所属する職場の管理監督者に対しても、プライバシーに配慮しつつ、就業上の措置の目的、内容などについて説明を行っていくとよいでしょう。

⑦衛生委員会等への報告
健康診断の結果、医師等からの意見、決定した就業上の措置等について衛生委員会(常時使用する労働者が50人以上の事業場に設置義務あり)に報告します。

⑧健康診断個人票の作成
健康診断個人票を作成し、5年間保存します。
様式は厚生労働省や都道府県労働局のHPからダウンロードすることができます。

⑨健康診断結果報告書の提出
常時50人以上の労働者を使用する事業場は、健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署へ提出します。

3、その他の関連事項

 健康診断には、一般健康診断と、一定の有害業務に従事する者に対して行う特殊健康診断がありますが、ここでは一般の健康診断に関連した事項に触れていきます。

①実施時間帯
定期健康診断については、所定労働時間内に実施する義務はありません。
ただし、できるだけ労働者の便宜を図り、所定労働時間内に行うことが望ましいとされています。

②実施時間の賃金
健康診断を受診する時間の賃金は、労使間の協議によって定めるべきものとされています。
支払いが義務づけられているわけではありません。

③健康診断の実施費用
労働安全衛生法等で会社に義務づけられている健康診断の費用は、会社が負担すべきものとされています。

④パートタイマー等
定期健康診断を受けさせる必要のある「常時」使用する労働者とは、次のいずれの要件も満たす者とされています。
・期間の定めのない契約により使用される者(期間の定めがあるときは、1年以上使用されることが予定されている者、更新により1年以上使用されている者が該当します)。
・1週間の労働時間数が、同種の業務に従事する者の1週間の所定労働時間の4分の3以上
また、1週間の労働時間数が4分の3に満たない場合であっても、通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者については、一般健康診断を実施することが望ましいとされています。

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