2016年

~時間外・休日労働をさせるとき(三六協定の届出)~

 使用者は、労働者に対し、原則として法定労働時間を超える労働をさせてはならず、また、休日については法定休日を確保しなければならないとされています。
 ところが、臨時的業務の発生や繁忙期の作業などのため、やむを得ず法定労働時間を超える労働や、法定休日の労働をさせる必要が生じることもあります。
 そのような場合は、あらかじめ労使間で書面による協定(労働基準法36条に基づいて締結する協定=「三六協定」)を締結し、所轄労働基準監督署長に届出をしておくことにより、時間外労働や休日労働をさせることが可能(労働基準法上の罰則を免れる)となります。
 そこで、三六協定の締結及び届出に関し、気をつけておきたい点を説明します。
(注1)始業時刻から終業時刻までのうち「休憩時間」を除いた時間をいい、1日につき8時間・1週間につき40時間とされています。なお、常時使用する労働者数が10人未満の事業場で、商業・映画演劇業(映画の製作の事業を除く)・保健衛生業・接客娯楽業を 営んでいる場合は、1週間の法定労働時間を44時間とする特例があります。
(注2)毎週少なくとも1日、または、4週間を通じ4日以上を与えることとされている休日をいいます。

1、三六協定の概要

①協定締結の単位
 三六協定は「事業場単位」で締結し、各事業場を管轄する労働基準監督署長に届出をします。
 したがって、会社に複数の事業場があり、各事業場で法定時間外労働や法定休日の労働をさせる場合は、本社で三六協定を締結することだけでは足りず、各事業場で三六協定を締結し、届出をする必要があります。
②事業場の規模
 届出を要する事業場の規模については定めがありません。
 例えば、就業規則は常時10人以上の労働者を使用するときに作成・届出の義務が生じますが、三六協定の場合は、常時使用する労働者数が10人未満であっても、法定時間外労働や法定休日の労働をさせるときには、締結・届出をしまければなりません。
③協定事項
 三六協定では、次の事項について協定します。
 ・時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由
 ・業務の種類
 ・労働者の数
 ・1日及び1日を越える一定の期間についての延長することができる時間
 ・労働させることができる休日
 ・有効期間

2、協定事項の注意点

 協定事項のうち、注意を要する点は次のとおりです。
①時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的な事由
 「臨時の受注」「納期の変更」など、具体的な事由をあらかじめ定めておきます。
②業務の種類
 業務の種類をできる限り細分化することにより、時間外労働をさせる必要のある業務の範囲を明確にしておくことが望ましいです。
③1日及び1日を越える一定の期間について延長することができる時間
 時間外労働の時間(延長することができる時間)は、次の三つについて定めます。
 ・1日(例・・・1日あたり3時間)
 ・1日を越え3か月以内の期間(例・・・1か月あたり45時間)
 ・1年間(例・・・1年あたり360時間)
 延長時間は「労働時間の延長の限度等に関する基準」で限度時間が定められており、それに適合した協定となるようにします。
 なお、法令で定める危険有害業務(例・・・坑内労働、多量の高熱物体を取り扱う業務など)に従事する者の時間外労働の上限は、1日2時間とされています。
④労働させることができる休日
 労働させることができる休日(例・・・「第1日曜日、第3日曜日」)と、始業、終業時刻を定めます。
 法定休日の対象日を特定させず、一定期間のうち休日労働をさせる日数を定めることや始業・終業時刻の代わりに、休日労働の時間数の限度を定めることでも差し支えありません(例・・・1か月に2日以内、休日労働時間数10時間)。
⑤有効期間
 有効期間は1年とすることが望ましいとされていますが、事業完了までの期間が1年未満である場合は、事業が完了するまでの期間について協定します。

3、特別条項

 時間外労働は、前記二で触れた「限度時間」の範囲内で行うこととなりますが、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特例の事情が予想される場合には、「特別条項付き協定」を締結することによって限度時間を超えて延長することができます。
 特別条項付き協定の注意点は次のとおりです。
①特別の事情
 限度時間を超えて時間外労働を行わせることができるのは、「臨時的なもの」に限られ、1年の半分を超えないことが見込まれるものを指します。
 特別条項により定める延長時間については、限度となる時間は示されておらず、労使間の自主的協議にゆだねられますが、過重労働による健康障害を防止する観点から、長時間労働とならないよう留意します。
②割増賃金の率
 限度時間を超えて労働させる一定の期間(1日を超え3か月以内の期間、1年間)ごとに、割増賃金の率を定めます。
 その際、法定割増賃金率の下限(2割5分)を超えるように努めることとされています(義務ではありません)。

4、協定の当事者

 事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は労働組合と協定し、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者を選出して協定します。
 「労働者の過半数を代表する者」とは、事業場に使用されているすべての労働者(パートタイマー、アルバイト等も含みます)の過半数を代表する者を指しますが、労働基準法に規定する管理監督者は代表者となることができないため、選出の際は注意します。
 また、選出にあたっては、投票、挙手、労働者の話し合い等労働者の過半数がその者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きを取りながら進めていきましょう。

5、届出・周知

 三六協定は、労使間で協定を締結しただけでは効力が発生せず、所轄労働基準監督署長に届出をすることで初めて有効なものとなります(時間外労働等をさせた場合でも、労働基準法の罰則の対象とならない)。
 そのため、有効期間の開始日より前に届出を済ませておくことが望ましいでしょう。届出書は二部用意し、受付印が押された一部を事業場の控えとします。
 なお、複数の事業場がある会社は一定要件(例・・・本社代表者とその会社の労働組合の長が締結した協定であること、本社と各事業場の三六協定の内容が同一であること等)を満たした場合に、本社を管轄する労働基準監督署長に一括して届け出ることもできます。
 届出をした三六協定は、次のいずれかの方法により労働者に周知する必要があります。
 ・常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
 ・書面を労働者に交付すること
 ・磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置すること

 

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